『テープ』は、貼るものなのか?

「テープ」と聞いて、何を思い浮かべるだろうか。 私の場合、まず思い浮かぶのはセロテープである。 あるいはガムテープ、ビニールテープ、養生テープ。 つまり、 テープ=粘着剤が付いているもの というイメージがかなり強い。 しかし、ちょっと待て。 本当…

OODAループは「高速PDCA」ではない ――空中戦から生まれた意思決定論と、日本の「軍事忌避」という認知のゆがみ

「OODAループ」という言葉を聞いたことがあるだろうか。 Observe(観察)、Orient(状況判断・方向づけ)、Decide(意思決定)、Act(行動)。 変化の激しい現代では、PDCAに代わる意思決定手法として紹介されることも多い。 たしかに、それは間違いではない…

秋は、山から降りてくる

――天気予報が微妙にズレる理由 ここ一か月ほど、どうも天気予報が微妙にズレる。 「午後から雨」のはずが、午前中から降ってきたりする。 逆に、雨の予報だったのに、なかなか降らない。 降ったとしても、予報されていた雨量より少なかったり、突然まとまっ…

「10万kmでバッテリー交換」は本当か?――14年乗ってわかった、ハイブリッド車の実力

ハイブリッド車について話をすると、かなりの確率で出てくる話がある。 「10万kmくらいで、走行用バッテリーを交換しないといけないんでしょう?」 いや、そんなことはない。 少なくとも「10万kmになったら必ず交換」という部品ではない。 そして、これはハ…

超臨界地熱発電は、なぜ難しいのか?

――「水から電気を作る」だけでは済まない、地下500℃の世界 超臨界地熱発電という言葉を聞くと、なんとなくこう思ってしまう。 「普通の地熱発電より、もっと熱い地下の熱を使えばいいのでは?」 たしかに原理だけを聞けば、その通りである。 地熱発電は、地…

『爆発』とは何か? ――「燃えたから爆発」ではない

「爆発」と聞いて、何を思い浮かべるだろうか。 火薬。 ガソリン。 プロパンガス。 あるいは映画の中で、炎と轟音を上げて吹き飛ぶ建物。 多くの人にとって、爆発とは「何かが燃えて、一気に燃え広がる現象」というイメージではないだろうか。 しかし、これ…

戦略は、相手に見せるものではない ――大日本帝国から現代日本まで、「戦略目標」を考える

「日本には戦略がない」 そんな言い方を、ときどき耳にする。 しかし、これは少し違うのではないか。 大日本帝国にも戦略はあった。政府にも、陸軍にも、海軍にも、それぞれの戦略があった。 問題は、戦略が「なかった」ことではない。 それぞれの戦略を、国…

組図は「描けていればいい」のか ― 風船が絡み合う図面から考える

機械設計の仕事をしていると、ときどき気になる図面に出会う。 正面図と右側面図があり、その周囲に部品番号の「風船」が配置されている。 ところが、その風船の引出線が互いに交差し、正面図の風船と側面図の風船が入り乱れている。 「この線は、どの風船か…

ロシアはウクライナに勝っているか?―そもそも戦略目標は?

「ロシアはウクライナに勝っているのか?」 ウクライナ戦争について、こんな問いを見かけることがあります。 ロシア軍が前進した。ウクライナ軍が領土を奪還した。ロシア軍の損害が大きい。ウクライナがロシア領内を攻撃した。 こうしたニュースを積み重ねて…

「コスモスは11月の花」だと思っていた ――山口百恵『秋桜』が作った、私たちの季節感

9月初旬。 畑の様子を見ていると、コスモスはまだ咲いていない。 「まあ、まだ9月になったばかりだしな」 そう思って、特に気にも留めなかった。 ところが、ふと考えてみた。 そもそもコスモスって、何月に咲く花なんだ? 私の中では、なぜか「11月ごろに咲…

『いざなみ景気』の次は?『アマテラス景気』?

――戦後最長の景気拡大、なのに太陽が見えない 「戦後最長の景気拡大になるかもしれない」 そんなニュースが流れてきた。 2026年7月の景気動向指数を受けて、現在の景気拡大が続けば、2002年2月から2008年2月まで続いた「いざなみ景気」の73か月を超える可能…

「中秋の名月」の「中秋」って何だ?

――「9月の満月」ではなかった、日本の暦の話 「中秋の名月」と聞くと、どんな月を思い浮かべるだろうか。 たぶん、多くの人は、 「9月ごろの、きれいな満月」 ではないだろうか。 私も、なんとなくそんなイメージを持っていた。 実際、現在のカレンダーで「…

「結束バンドなんて、どれでも同じ?」 ――インシュロックにもULと難燃性がある

「インシュロック持ってきて」 製造業で働いていると、こんな会話は珍しくない。 配線を束ねる、あの樹脂製のバンド。 一般には「結束バンド」や「ケーブルタイ」と呼ばれるものだ。 ところが日本では、「インシュロック」という名前が、結束バンドそのもの…

「架台」は「かだい」か「がだい」か? ――正しい日本語より、聞き間違えない日本語

先日、ふと気になった。 「架台」という言葉がある。 装置や機械を載せる台、設備を支えるフレームなど、製造業ではごく普通に使う言葉だ。 さて、これを何と読むか。 「かだい」 もちろん、それが標準的な読み方である。 辞書的には「架台=かだい」。 異論…

戦闘機は10G、じゃあ戦闘ヘリは? ――『ブルーサンダー』とOH-1から見る「ヘリの機動性」

戦闘機の話をしていると、 「この機体は9Gまで耐えられる」 とか、 「10Gの旋回ができる」 という話が出てくる。 実際、戦闘機の中には+9G級の荷重を想定した機体がある。 では、ふと思った。 戦闘ヘリは、何Gまで耐えられるのだろう? 戦闘機が10Gなら、ヘ…

「マキタのバッテリーは、でっかい乾電池」ではない

――純正品と互換品の差は「セル」だけでは決まらない マキタの18V電動工具を使っていると、こんな会話を耳にすることがある。 「純正バッテリー、高いよね」 「互換品なら半額以下で買えるよ」 「中の電池は同じようなものでしょ?」 確かに、見た目だけなら…

Windows勝筋の軌跡 外伝① Microsoftは、なぜChromiumを選んだのか

――独自ブラウザエンジンを捨てて、Microsoftは「Windowsの外」へ出た Microsoft Edgeを使っていると、少し妙なことに気づく。 EdgeはMicrosoftのブラウザなのに、その「中身」はGoogleを中心に開発されたChromiumをベースにしている。 MicrosoftとGoogleとい…

『Windows勝筋の軌跡』最終回 「優れた技術」と「勝つ技術」は違う

――Windows vs Macから見える、デファクトスタンダードの法則 ここまで8回にわたって、WindowsとMacの歴史を追ってきた。 最初は、 「なぜWindowsはこれほど企業で強いのか?」 という、単純な疑問から始まった。 Windowsは本当にMacより優れたOSだったのか。…

『Windows勝筋の軌跡』第8回 それでもWindowsは強い

――標準を取った者には「過去」が味方する ここまで、Windowsがなぜ企業の世界で強いのかを見てきた。 ネットワーク。 企業IT。 ソフトウェア。 CAD。 周辺機器。 業務システム。 そして、それを使う人間。 一つひとつを見れば、 「別にWindowsでなくてもいい…

『Windows勝筋の軌跡』第7回 では、Macは本当に企業に弱いのか?

――実は現在、状況はかなり変わっている ここまで『Windows勝筋の軌跡』では、 Windows Server Active Directory Microsoft Office ネットワーク効果 CAD PLC 測定器 業務システム 社内教育 ……と、Windowsが企業の中へ入り込んでいった歴史を見てきた。 こう…

『Windows勝筋の軌跡』第6回 そして「人間」までWindowsにロックインされた

――最大の資産はソフトウェアではなく「慣れた人間」 ここまで、Windowsが企業の中に入り込んでいった経緯を見てきた。 業務ソフト。 CAD。 周辺機器。 ファイルサーバー。 Active Directory。 Microsoft Office。 そして、社内システム。 一度Windowsを中心…

『Windows勝筋の軌跡』第5回 企業がMacに乗り換えられない本当の理由

――OSを変えるだけでは済まない 「WindowsよりMacのほうが使いやすい」 「Macのほうがセキュリティに強い」 「MacBookはカッコいい」 そんな話は、昔からある。 実際、個人で使うPCなら、 「じゃあMacに買い替えよう」 で済む。 家電を買い替えるのと、それほ…

『Windows勝筋の軌跡』第4回 製造業に入ると、Windowsの強さがよく見える

――CAD、PLC、測定器……「OSを選べない世界」 Windowsの強さについて考えていると、どうしても「Windowsそのものの性能」に目が行く。 処理速度が速い。 対応するハードウェアが多い。 ソフトウェアが豊富だ。 企業向けの機能が充実している。 もちろん、それ…

『Windows勝筋の軌跡』 第3回 デファクトスタンダードは「勝った瞬間」より「勝った後」が怖い

――ネットワーク効果という巨大な雪だるま 第1回では、 「Macはネットワークに弱かったから、企業ではWindowsが主流になった」 という説明に疑問を投げかけた。 第2回では、Windowsが単なるPCのOSではなく、サーバー、認証、管理、ファイル共有、Officeなどを…

『Windows勝筋の軌跡』 第2回 Windowsは「PCのOS」ではなく「企業ITのOS」になった

――Microsoftが取った、OSの外側 第1回では、 「Macはネットワークに弱かったから、企業ではWindowsが主流になった」 という説明に、少し疑問を投げかけた。 Macのネットワーク機能そのものが弱かった、というだけでは説明できない。 むしろ重要だったのは、 …

『Windows勝筋の軌跡』 第1回 「Macはネットワークに弱かった」は本当なのか?

「Macはネットワークに弱かったから、企業ではWindowsが主流になった」 そんな話を聞いたことがある。 たしかに、昔の企業ITを知っている人間なら、なんとなく納得してしまう説明でもある。 企業のPCといえばWindows。 サーバーもWindows Server。 ユーザー…

枚方・八幡のショッピングモールが消えていく ――「店がなくなる」のではなく、商業の形が変わっている

最近、枚方・八幡周辺を走っていると、少し気になることがある。 ショッピングモールや大型店の閉店が、妙に続いている。 「フォレオひらかた」がなくなり、2026年には「イズミヤSC枚方」も55年の歴史に幕を閉じた。1970年開業のイズミヤSC枚方は、かつて全…

マグネトロンとマイクロトロン、何が違う? ――電子レンジと粒子加速器を混同した話

「マイクロトロンって、マイクロ波を出すやつですよね?」 ……と思っていた。 正確には、ちょっと違う。 電子レンジに入っているのは、マイクロトロンではなくマグネトロンである。 この二つ、名前が似すぎている。 しかも、どちらも電子と電場と磁場が登場す…

核を持たない日本の抑止戦略を、具体的に設計してください ――非核三原則という「お題目」の、その先へ

「非核三原則を守るべきだ」という意見は、少なくない。 もちろん、それ自体は一つの政策的選択である。 日本は核兵器を持たない。核兵器を製造しない。核兵器を日本国内に持ち込ませない。 それでいい。 では、ここで一つ宿題を出したい。 核を持たない日本…

「核武装すべきか?」の前に 第7回 結論 日本は核武装を議論できる国家か?

――「持たない」と決めるためにも、議論する はじめに――最初の問いに戻る ここまで6回にわたって、核兵器について考えてきた。 最初の問いは、 日本国は核武装すべきか? だった。 しかし、議論を進めていくうちに、少し違う問いが見えてきた。 アメリカの核…