核を持たない日本の抑止戦略を、具体的に設計してください ――非核三原則という「お題目」の、その先へ

「非核三原則を守るべきだ」という意見は、少なくない。 もちろん、それ自体は一つの政策的選択である。 日本は核兵器を持たない。核兵器を製造しない。核兵器を日本国内に持ち込ませない。 それでいい。 では、ここで一つ宿題を出したい。 核を持たない日本…

「核武装すべきか?」の前に 第7回 結論 日本は核武装を議論できる国家か?

――「持たない」と決めるためにも、議論する はじめに――最初の問いに戻る ここまで6回にわたって、核兵器について考えてきた。 最初の問いは、 日本国は核武装すべきか? だった。 しかし、議論を進めていくうちに、少し違う問いが見えてきた。 アメリカの核…

「核武装すべきか?」の前に ⑥もう一つの抑止――核兵器より「代替不能な技術」を持つ国へ

はじめに――核兵器を持たないなら、何を持つのか ここまで、核兵器について考えてきた。 米国の核の傘。 NPT。 核抑止。 MAD。 第二撃能力。 そして、日本の地理的条件。 その結果として見えてきたのは、 核兵器を持つことと、核戦争を生き残れることは別問題…

「核武装すべきか?」の前に ⑤日本の核武装――日本は核戦争を戦えるのか?

はじめに――「核兵器を持てば、日本は強くなる」のか 第1回からここまで、核武装をめぐる外部環境を見てきた。 アメリカの核の傘。 NPT。 北朝鮮。 MAD。 第二撃能力。 極超音速兵器。 そして、核抑止そのものが極めて複雑な国家システムの上に成立しているこ…

「核武装すべきか?」の前に ④核抑止――MADは、まだ機能しているのか?

はじめに――「撃てば撃ち返される」は、本当にまだ通用するのか 核兵器をめぐる議論で、最も有名な言葉の一つが、 相互確証破壊――MAD(Mutual Assured Destruction) である。 簡単に言えば、 「お前が撃てば、こちらも撃つ。だから、お互いに撃てない」 とい…

「核武装すべきか?」の前に ③NPT――「核を持つ国」と「持たない国」は、なぜ分かれているのか?

はじめに――なぜ日本は核を持ってはいけないのか 日本は核兵器を持っていない。 しかし、単に「日本が核兵器を持たないと決めている」だけではない。 日本はNPT、核兵器不拡散条約の非核兵器国であり、核兵器を製造・取得しない義務を負っている。 では、そも…

「核武装すべきか?」の前に ②核の傘――アメリカは、本当に日本のために核戦争をするのか?

はじめに――日本は「核を持っていない」のではなく、「持たせてもらっている」のか 日本は核兵器を保有していない。 しかし、日本の安全保障が核兵器と無関係かというと、そうではない。 日本の安全保障には、米国による拡大抑止、いわゆる「核の傘」が組み込…

「核武装すべきか?」の前に ①総論――日本は核武装を議論できる国家か?

はじめに――「核武装すべきか?」という問いの前に 日本は核武装すべきなのか。 私は、現時点では「すべきではない」と考えている。 しかし、それと、 「核武装について議論すべきではない」 は、まったく別の話だ。 むしろ、現在の国際情勢を見れば、核兵器…

『モノポリー』を2日遊んでみた ――資本主義の構造が見えるゲーム

PS5版の『モノポリー』を、2日ほど遊んでみた。 結論から言うと、ゲームとしての評価は……うーん、★2.5くらいというストア評価に、かなり納得してしまった。 ただし、だからといって「つまらないゲームだった」で終わらせるのは、少し違う気がする。 むしろ遊…

『異世界おじさん』が織りなすもの⑥ OPだけで『異世界おじさん』は完成している ― 90秒に織り込まれた90年代ゲーム文化 ―

ここまで五回にわたり、『異世界おじさん』という作品を、 物語構造 反転のフラクタル サブカル史 認知心理学 ゲーム文化 という視点から見てきた。 そして、それらは実は第1話より前、オープニング映像のわずか90秒の中に、すでに凝縮されている。 このOPは…

『異世界おじさん』が織りなすもの⑤ ゲーム文化の博物館としての『異世界おじさん』 ― セガ愛が保存した90年代ゲーム文化 ―

『異世界おじさん』を語るとき、多くの人は「セガ愛」を挙げる。 もちろん、それは間違いではない。 しかし、この作品が描いているのは、単なる企業への愛着ではないように思う。 『異世界おじさん』は、90年代ゲーム文化そのものを保存し、現代へ伝える「博…

『異世界おじさん』が織りなすもの④ 認知心理学で読む『異世界おじさん』 ― スキーマ・予測誤差・認知バイアス ―

ここまで、 『異世界おじさん』は、 物語の構造を反転し、 さまざまな階層で「お約束」を組み替え、 90年代オタク文化まで織り込んだ作品であることを見てきた。 では、なぜ私たちはそれを「面白い」と感じるのだろうか。 その答えは、認知心理学にあるよう…

『異世界おじさん』が織りなすもの③ 90年代オタクという異世界 ― オークとオタクは何を共有しているのか ―

『異世界おじさん』を見ていて、ずっと気になっていたことがある。 なぜ、おじさんは異世界へ行った直後から、オークやゴブリンと間違われ、人間として扱われなかったのだろうか。 もちろん作品内では、その独特な容姿が理由である。 しかし、それだけではな…

『異世界おじさん』が織りなすもの② 反転のフラクタル構造 ― あらゆる階層で「お約束」を裏返す ―

『異世界おじさん』の面白さを語る時、多くの人は「異世界作品のお約束を外している」と表現する。 確かに、その側面はある。 しかし、この作品の特徴は、単にお約束を一つひとつ壊していることではない。 本当の特徴は、 作品を構成するあらゆる階層で、同…

『異世界おじさん』が織りなすもの① 異世界おじさんは何が新しかったのか ― 異世界作品の「構造」を反転した作品 ―

「異世界もの」と聞いて、多くの人が思い浮かべる展開がある。 現代日本で暮らしていた主人公が、ある出来事をきっかけに異世界へ行く。 そこで特別な能力に目覚め、仲間と出会い、冒険を重ね、やがて英雄になる。 これは2010年代以降のライトノベル・アニメ…

サマータイムは「一人」で十分? ― 車社会と鉄道社会、そしてフレックスタイムという小さな時間改革 ―

夏になると、ときどき話題になるのが「サマータイム」である。 時計を1時間進めて、朝の時間を早く始め、夕方の明るい時間を有効に使おう――という考え方だ。 日本でも過去に何度か導入が議論されたことがある。 しかし、私は最近、ふと思った。 「別に、国全…

「京福」の「福」は福井だった ― 京都と北陸のあいだにあった、もう一つの歴史地図 ―

先日、ふと知った。 京福電気鉄道の「福」は、福井の「福」だった。 ……そうだったのか。(笑) 京都で走っている「嵐電」のイメージが強いので、「京福」という名前を見ても、京都と福井が結びつく人は、案外少ないのではないだろうか。 しかし、これは単な…

「爆発した」だけでは事故は説明できない ― 熊本のLPG事故から考える「漏れる・溜まる・着火する」の連鎖 ―

まず、今回の地震・事故で亡くなられた方々に、心より哀悼の意を表します。 また、負傷された方々の一日も早い回復と、被害を受けられた皆さまの生活が一日も早く平穏を取り戻すことを願います。 今回の事故については、まだ原因究明の途上です。 したがって…

『あるかも』思考⑤ ― 改善は「あるかも」から始まる ―

これまで『あるかも思考』シリーズでは、 「知らないものは探さない」 という話から始まり、 ショートカットキー、ツール系ソフト、そして組み合わせ方へと、『あるかも』の対象を少しずつ広げてきた。 今回は、仕事の話である。 改善提案がよく出る人と、ほ…

『あるかも』思考④ ― 商品ではなく、組み合わせを探せ ―

前回は、「困りごとから探すと、ツールが見つかる」という話を書いた。 世の中には、自分と同じことで困っている人がいる。 だから、便利なツールやアプリが存在するかもしれない。 そんな『あるかも思考』で、さまざまな道具と出会うことができる。 しかし…

『あるかも』思考③ ― 困りごとから探すと、ツールが見つかる ―

前回は、『あるかも思考』を身につける最も簡単な方法として、ショートカットキー探しを紹介した。 「この操作、もっと簡単にできないかな。」 そう考えるだけで、仕事の効率は少しずつ良くなっていく。 しかし、『あるかも思考』はショートカットキーだけで…

『あるかも』思考② ― 最も簡単な実践法はショートカットキー探し ―

前回の記事では、「知らないものは探さない」という話を書いた。 人は存在を知らないものを検索できない。 だからこそ、「何か方法があるかもしれない」と考える姿勢が大切なのだと述べた。 では、その『あるかも思考』はどうすれば身に付くのだろうか。 私…

「地球温暖化」では説明しきれない? ― FA脳で考える「熱の渋滞」という視点 ―

「梅雨明けしたはずなのに、また梅雨前線?」 2026年7月下旬。北陸や東北では梅雨前線が南下し、大雨や冠水が発生しました。 「もう夏本番では?」「ひょっとして秋雨前線?」 そんな疑問を持った方も多かったのではないでしょうか。 実際には、7月という時…

ミンミンゼミは関西にいないのか? ― FA脳で読み解く、関東と関西のセミ分布 ―

関西ではクマゼミばかりなのに、関東ではミンミンゼミが主役。この違いは、本当に気温だけで説明できるのだろうか。信楽で聞いた一匹の鳴き声から、地質・土壌・地温まで視野を広げて考えてみた。 夏になると、関東では「ミーン、ミーン」というミンミンゼミ…

職務質問と濫訴―― 権利救済と社会的コストの間で

最近、「レイシャル・プロファイリング(人種や外見を理由とした職務質問)」を巡る訴訟が話題になっている。 外国にルーツを持つ人々が、外見のみを理由に職務質問を受けたとして国などを提訴したもので、人権擁護の観点から支持する声もあれば、警察活動の…

地経学という言葉への違和感

―― なぜ「地政学」をわざわざ分割するのか 近年、「地経学(Geoeconomics)」という言葉を目にする機会が増えた。 しかし私は、この言葉にどうにも違和感を覚える。 地経学とは一般に、経済を手段として国家間競争や国際秩序を分析する考え方を指す。制裁、…

一億、総『一休さん』のススメ⑫ AI時代に本当に必要な力 ― 一億、総『一休さん』

このシリーズでは、AIについて書いてきました。 検索から対話へ。 問い。 仮説。 三角測量。 悪魔の代弁者。 共同研究者。 編集者。 振り返ってみると、不思議なことがあります。 AIの話を書いていたはずなのに、 最後は人間の話になっていました。 それが、…

一億、総『一休さん』のススメ⑪ 主任昇任試験で分かったAIの本当の価値 ― AIは資料を作るのではない、伝わる構造を作る

このシリーズでは、 AIは検索エンジンではない。 AIは思考の鏡である。 AIは共同研究者である。 そんな話を書いてきました。 その考えを、私自身が最も強く実感した出来事があります。 主任昇任試験のプレゼンテーションです。 プレゼン資料づくり 昇任試験…

一億、総『一休さん』のススメ⑩ Bluetoothノイズが教えてくれたこと ― 私がAIを信頼するようになった日

このシリーズでは、 問い。 仮説。 三角測量。 悪魔の代弁者。 そんな少し難しい話を書いてきました。 けれど、私がAIを本当に信頼するようになったきっかけは、もっとずっと些細な出来事でした。 カーオーディオにBluetoothで音楽を流すと、ノイズが入る。 …

一億、総『一休さん』のススメ⑨ AIは第二の○○である ― 生活に溶け込む知能

「AIは仕事を奪う。」 そんな話を耳にすることがあります。 確かに、一部の仕事は変わっていくでしょう。 しかし、私自身がChatGPTを使い続けて感じているのは、少し違う未来です。 AIは、誰かの代わりになるというより、 「第二の○○」 として、私たちの日常…